バリ島でのヒンズー教徒との離婚

先日、日本に在住されている女性の方と、バリ島に居住されている配偶者の男性の方との間の国際結婚の離婚裁判のご依頼をいただきました。

 

インドネシアの場合、日本と違って、離婚は裁判を経て成立するものである事から、やはり問い合わせをいただくことは多いのです。

 

ただ、どこの国でも同様だと思いますが、離婚は、実際に<離婚>という手続きをするだけではなく、離婚に至るまでの生活自体が関連してきます。

 

特にその生活に関わる部分については、既存の全書面の内容/背景を確認し、それに伴う法律、規定を確認しながら、依頼人の方の希望と法律/規定の間に折り合いをつけていく対応が必要となります。

 

やはり離婚に伴って、依頼人の方が一番ご心配され、特にご相談いただく内容は、<子供の親権><財産分与>となります。

 

例えば、一般的にヒンズー教の場合、その家の家長となるべく長男の親権を外国人側の配偶者が得ることは、難しいとされていますが、法律に基づいた場合、お子さんの親権については、以下の通り宗教によって異なります。

 

 


ヒンズー教では、最初の子供が男の子の場合、親権は父親となります。

 

しかし、最終的には、裁判官の判断や配偶者間の意思/合意にもより結果は変わりますし、

また、裁判官は、母親が提出した証拠により、父親には特に息子の世話をする責任がないことが判明した場合等、母親が息子の世話をするための一定の収入があることも証明できる限り、母親に親権を与えることも可能です。

 

また、イスラム教では、イスラム法編纂第14章児童扶養に関する第105条の規定に従い、同法は次のように定める。

 

離婚した場合:

a. 12歳以下の子供の監護は、母親の権利である。

b. 12歳以上の子供の監護は、親権者を父か母のどちらかに選択させる。

c. 養育費は父親が負担する。

 

 

他宗教の婚姻については、親としての責任感をどのように示すことができるか、子どもを監護するのに十分な収入があることをどのように証明するかにかかっており、最終的には裁判官の判断や配偶者間の意思・合意によって判断される。


また、離婚に伴って発生する財産分与ですが、婚姻後に得た資産は、どちら側の資産を使って得た資産であっても、共同の婚姻資産として、折半が基本です。

 

ただ、法律上では、このような規定になってはいても、実際各依頼人の方々の今までの経緯、関係資料と現状について十分リスニングさせていただき、上記のようなケースで、本来は難しいとされるお子さんの親権を外国人の配偶者とする事、また、財産分与の分け方を折半ではなく別途事前交渉し書面にて双方同意した契約書の作成を行うなど、それぞれの依頼人の方のご意向にできる限り近づけられるようサポートさせていただくことも可能もあります。

 

ご相談いただく方々とお話するたびに感じるのは、それぞれの方々にそれぞれの事情があり、また、歴史も皆さん異なり、一つとして同じ状況はない、という事です。

 

仕事上、事務所で様々な方々のお話をお聞きしていると、どのような案件であっても共通して言えるのが、インドネシアの法律に熟知した問題を解決してくれる弁護士に、まずは起こった経緯、事情を明確に理解してもらい、法的な対応をする事は、思った以上に重要な事だと感じています。

 

依頼人の方の言わんとしたいことを伝え、理解してもらうためには、相談される側、相談を受ける側の個人的な性格、国民性の違い、男女の考え方の違い等、双方の違いはたくさんありますが、その箇所を少しでも差を埋めるべく、これまで多くの依頼人の方々にサポートさせていただいた対応による経験、また、長年共に仕事をしてきた弊社の各チームメンバーとのチームワークにより、依頼人の方々に起こった経緯/状況を、確認させていただく作業に対してもあきらめることなく誠意をもって、積極的に理解する事に努め、最終的に少しでもご意向に沿った形で問題解決ができるよう、全力でお手伝いしたいと考えています。

 

何はともあれ、まずは、ご自身が抱ええている問題をメール(yoshiko@vlobali.com)にて共有させてください。弊社チーム一同問題解決のお手伝いできることを心よりお待ちしております。